映像の世界を漂流し、AIという新大陸に行き着いたクリエイターのサバイバル術
「映画 × 演技 × 生成AI」を掛け合わせ、大人が本気で遊ぶ新しいエンタメを作っています。
映像企画・制作であり、AIクリエイターであり、そして俳優・麻木貴仁としても活動する浅木大さん。現場仕事を離れて自宅のPC前を定位置にし、AIに映画レビューを熱唱させたり、自分自身を素材にしてなりきり転職させたりと、生成AIを相手に自由自在なクリエイティブ活動を展開しています。
今回のつなぎ道トークは、早稲田大学映画研究会(映研)の先輩・後輩という間柄である佐藤孝治との対談。学生時代の熱狂から始まり、テレビや映画の現場での挫折と葛藤、舞台への挑戦、そして最新のAI技術を活用した独自の生存戦略まで、映像業界の荒波を生き抜いてきた浅木さんの赤裸々な半生が語られました。
「俺は天才だ」——思い上がりと挫折から始まったキャリア
浅木さんと佐藤の出会いは、早稲田大学の映画研究会の部室でした。新入生として訪れた佐藤を優しくもてなした浅木さんですが、当時の自分を振り返り「俺は天才だし、という思い上がりがすごかった」と苦笑します。
小学4年生で映画『E.T.』を見て感動し、「映画を作る人になりたい」と志した浅木さん。大学時代は自主映画の制作に没頭し、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)での入賞を夢見ていました。しかし、卒業後もフリーターとして脚本を書き続ける日々が続き、徐々に同世代の仲間たちが就職して現場を離れていく現実に直面します。
そんな中、映研の先輩の紹介でTBSの深夜ドラマの助監督見習いとして現場に入ります。しかし、そこで待っていたのは厳しい現実でした。「自分は才能がある」というプライドと、現場で何もできない自分とのギャップに苦しみ、わずか3本の作品に関わっただけでドロップアウトしてしまいます。
「現実は華々しい世界ではない。仕事として振られた時に何もできない衝撃。自分の勝手な思い込みに自分が潰されていく感覚でした」
映像業界の「つなぎ道」——Vシネマ、舞台、そしてラインプロデューサーへ
挫折を味わった浅木さんですが、映像の世界から完全に離れることはありませんでした。ドラマ現場で出会った映画好きのチーフ助監督から「Vシネマの現場があるけどやるか?」と声がかかり、再び現場へ。さらに、別の縁から下北沢の舞台に役者として立つ機会も得ます。
「果たして俺は何屋さんなんだろう?」と自問自答しながらも、与えられた役割に全力で応えていく浅木さん。舞台では「自分が目立ちすぎると作品が壊れる」という全体の中でのバランス感覚を学び、それが映像制作における大きな糧となりました。
その後、映画制作会社の社員となり、助監督からラインプロデューサーへと転身。さらに会社が倒産した後は、フリーランスとして湘南のご当地映画の編集や配給まで自ら手掛けるなど、まさに映像業界のあらゆる職種を経験していきます。
| 観点 | 浅木さんの経験 | 学び・気づき |
| 自主映画 | 監督・脚本・編集 | 映画作りの原点、クリエイティブの楽しさ |
| テレビドラマ | 助監督見習い | 現場の厳しさ、自身の過信と挫折 |
| 舞台演劇 | 役者(番頭役) | 全体の中での自分の役割、生のお客さんの反応 |
| 映画制作 | ラインプロデューサー・編集・配給 | ビジネスとしての映像制作、裏方の重要性 |
「狭い業界の中では、誰かを紹介したり紹介されたりして成り立っている。まさに『つなぎ道』ですよね」と浅木さんは語ります。挫折しても、不器用でも、映画が好きだという情熱を持ち続けていたからこそ、次々と新たな縁が繋がり、映像の世界に留まり続けることができたのです。
自分自身を「AIコンテンツ化」する——俳優の新しい生存戦略
そして現在、浅木さんは「生成AI」という新たな武器を手に入れました。毎日AIを使って画像やショート動画を作成し、SNSで発信し続けています。
「AIの進化は凄まじく、写実的なリアルさではもう否定のしようがないレベルに達しています。でも、そこにはまだ『リアリティ(現実感)』がない。その違和感を突き止め、演出や修正を加えてリアリティを持たせるのが、人間のクリエイターの役割だと思っています」
さらに浅木さんは、俳優としての独自の生存戦略も語ってくれました。ハリウッドで亡くなった俳優がAIで復活する時代において、役者が生き残る道は「自分自身がAIキャラクターになること」だと言います。
「今、自分をパロディ化して色々な職業に就かせる画像を毎日アップしています。これが蓄積されることで、僕の詳細なデータができあがる。将来、僕が死んだ後でも『浅木貴仁を20歳の姿でこの映画に出そう』ということができるようになるかもしれない。自分をAIコンテンツ化していくことは、生き残る手段の一つなんです」
この斬新な発想に、佐藤も「これは今まで聞いたことがない話ですね」と驚嘆します。
「何屋さんかわからないけど、できることは何でもやります」
かつて「映画監督になれない自分」に苦しんでいた浅木さんですが、今はその執着から解放され、とても軽やかな表情を見せます。
「映画に関わりたくても、親の介護や病気など様々な理由で消えていった人たちをたくさん見てきました。今もこうして映像に関わり続けられている自分は、めちゃくちゃ幸せなんだと自然に思えるようになりました」
「何屋さんかはわからないけど、できることはやります屋さん」と笑う浅木さん。映画監督への夢は100%捨てたわけではありませんが、今は目の前の面白いこと、AIを使った新しい表現に夢中です。
様々な挫折を乗り越え、無数の縁に導かれてきた浅木大さん。彼のクリエイティブな探求は、AIという新大陸でさらに自由な広がりを見せています。テキストでは伝えきれない、長年の付き合いだからこそ引き出せた本音や、二人の絶妙な掛け合いは、ぜひ実際の動画でご覧ください。
つなぎ道トーク #13 浅木大|映像企画・制作/AIクリエイター
映像企画・制作/AIクリエイター 。現場仕事を離れて、自宅のPC前を定位置に。「生成AI」を相手にクリエイティブ活動(遊び)。AIに映画レビューを熱唱させたり、俳優・麻木貴仁(@nijakatikasa)を勝手に“素材”にして、なりきり転職させたりしています。※生成はAI、企画構成は浅木大。
